Tanemaki

概要
屋号「Tanemaki」のロゴマークです。屋号の由来である営業用語「たねまき」から発想し、植物の種が持つ生存戦略をコンセプトの核に据えました。書体・色・モチーフの選定まで、一つひとつ積み上げて制作しています。
日本タイポグラフィ年鑑2023 ロゴ・シンボル部門 入選
自分の旗を立てるために
自分がどんなスタンスで仕事をしているのか、何を大切にしているのか。
それをデザインとして表明したいという思いが、Tanemakiのロゴマーク制作の出発点でした。
自分のロゴマークがないまま「あなたのロゴを作ります」とは、自信を持って言いにくい。そんな実務的な理由もありましたが、それ以上に、事業の原点や方向性を自ら言語化し、ロゴマークとして掲げることがTanemakiにとって必要なことでした。
デザインのコンセプトを考えるにあたり、まず「たねまき」という言葉を解体することから始めました。営業用語としての「たねまき」だけでなく、植物の種蒔きそのものについて、種の種類や蒔き方、種が持つ仕組みまで幅広く調べていくなかで、「種の生存戦略」という切り口に行き着きました。
例えばタンポポは風を使って種を遠くへ運び、カタバミは熟した実が弾けて種を飛ばし、ドングリはリスなどの動物に自らを運ばせてその食べ残しから発芽する。
あの小さな種たちが、それぞれに生き残るための戦略を持っていることに、ブランディングやデザインの仕事との共通点を感じました。
事業の内外環境を読み、方向性を言語化し、届けたい相手に届くようにデザインで整えていく。その姿勢と重なります。
また、種が広がっていく様は「可能性の広がり」そのものでもあります。
何百何千という種が散らばり、その先で芽吹き、また新たな命が広がってゆく。事業における「たねまき」も、試行錯誤を繰り返しながら可能性を広げていくことだと思います。
そしてもう一つ大切にしたのが、「わくわく・楽しく」という感覚です。
戦略性や可能性といった言葉はともすると硬い印象になりがちですが、Tanemakiとして大切にしているのは、クライアントとの対話を通じてわくわくが増えていくような仕事のあり方です。ロゴマークにもその空気感を宿したいと思いました。

ビジュアルに落とし込む
こうして言語化したコンセプトを、書体と色の選択に落とし込んでいきました。
書体はドイツのLinotype社のAkko® Pro Rounded Bold Italicをベースに使用しています。タイプディレクターの小林章さんが手がけたこの書体は、丸みを帯びたフォルムが親しみやすく、その一方で現代的な整然さも持ち合わせています。「わくわく・楽しく」というコンセプトをビジュアルに落とし込むうえで、自然な選択でした。
ただし、ベースの書体をそのまま使うのではなく、文字の足の部分をわずかに太らせる調整を加えています。ぷっくりとした愛らしさを加えるとともに、植物が地面にしっかりと根を張りながら一歩一歩進んでいくようなイメージを重ねました。
カラーは橙と黄の中間色を採用し、「太陽の光、実り、閃き」を表すメインカラーとしています。明るく前向きな印象を持ちながらも、ユニバーサルデザインの観点から可読性にも配慮しています。白背景との組み合わせで認識しづらくなりすぎないよう、明度差を意識しながら数値を丁寧に調整しました。


使われる場面を考える
ロゴマークを設計する段階で大切なことは、どこでどのように使うかを具体的に想定して作ることです。たとえば、Webサイトのヘッダーへの収まりの良さ、プレゼン資料でのフォーマット展開のしやすさ。
このロゴマークでは、シンボルモチーフとして種が広がる様を切り出せる構造にしたことで、さまざまなシチュエーションで活用できるロゴマークにしました。
日本タイポグラフィ年鑑2023 ロゴ・シンボル部門入選作品


